事例ストーリー

中通り

倉本剛さん(福島との関係深化)

2025.01.30 中通り 福島との関係深化 メーカー勤務

倉本さんは、東京都内のメーカーで部長職を務める一方、情報システム部門や経営企画部での経験を経て、新規事業開発を手掛けてきました。業務システムの企画開発や子会社設立、経営管理、新規事業の立ち上げなど、多岐にわたる経験を持つ倉本さん。その経験とスキルを活かし、どのようにして福島と関わりを持ち、地域とのつながりを深めていったのか、その物語をご紹介します。

副業から始まった福島との縁

倉本さんは大阪出身で、これまで福島との縁はほとんどありませんでした。震災のニュースで名前を耳にすることはあったものの、実際に訪れたことはなく、具体的なイメージを持つ機会もありませんでした。そんな中、偶然目にした福島県の副業サイトで「株式会社安斎果樹園」の案件に興味を持ったことが、福島との関わりを深めるきっかけとなりました。 安斎果樹園は、福島市北部の飯坂町で桃やりんごを中心に果物を生産し、贈答品をメインに販売している果樹園です。当時、受注管理や顧客対応を電話やFAXで行っており、代表の安斎さんはその非効率さに課題を感じていました。また、既に構築していたECサイトも使い勝手の面で課題が多く、改善が必要な状況でした。 情報システムのスキルと豊富な企画・開発経験を持つ倉本さんが支援に加わることで、この状況が大きく改善されていきました。ECサイトの改修に留まらず、果樹園の公式LINEを立ち上げ、顧客とのコミュニケーションを強化する取り組みも実施しました。このような取り組みを通じて、販促の幅が広がり、全国に安斎果樹園のファンが増えていくのを実感することができました。

「いくつか副業に携わらせてもらった中で、なぜか農業に関係する会社とのマッチングが多いんです」と倉本さんは笑顔で話します。選んでいるわけではないものの、不思議とそうなってしまうのだとか。農業という分野は、倉本さんが得意とするITのスキルがまだまだ活用される余地が多いと感じるそうです。「東京の人には当たり前でも、まだまだ福島の人には当たり前じゃないこともあるんです」と語る倉本さん。新しい技術を取り入れ、現地のニーズに応じた解決策を提供する中で、やりがいを強く感じています。 倉本さんは、東京ではなかなかできない体験ができることに喜びを感じながら、日々関わっている県内事業者にどのように役立てるかを考え、活動を続けています。

福島での活動の幅をさらに広げるきっかけとなったのが、プロボノ活動への参加でした。プロボノとは、専門的なスキルを活かして無償で社会貢献する活動のことを指します。倉本さんは、福島で活動したいという志を同じくする仲間たちと共に、2年間にわたってイベントの企画に取り組みました。 1年目は無我夢中で、みんなで悪戦苦闘しながら桃を使った新スイーツを3種類開発・販売し、イベントを盛り上げる工夫を凝らしました。初めての経験に戸惑いながらも、みんなで試行錯誤しながら取り組む時間はとても楽しく、大きな達成感を得ることができました。 2年目になると、活動はさらにパワーアップしました。広報活動にも力を入れ、SNSでの発信を強化したり、地元名物の餃子に桃を入れた「ピーチ餃子」にオリジナルデザインのタオルを付けて限定で販売するなど新しい試みも行いました。テントの中で汗をかきながら活動を共にする時間は、仲間たちとの絆を深める貴重な時間となりました。「本当にみんなで楽しく、素晴らしい思い出ができました」と振り返る倉本さんの表情には、満足感が溢れていました。

いつの間にか福島がより近くに

倉本さんにとって、福島での活動は「副業」の枠を超えた、特別な経験となりました。東京から福島までは毎回車で通い、その道中も楽しみの一部だと言います。「車で行くと自然と天気を気にするようになりますし、昔より季節に敏感になりました」と話す倉本さん。福島の美しい四季折々の風景を眺めながら移動する中で、自然との距離がぐっと近づいた感覚を得たそうです。 また、地元の人々との話題にも困らないとか。「『あの道路ね』なんて話をすると、すぐに話が盛り上がるんです」と笑顔で語ります。こうした移動中の体験も、福島との深いつながりを感じさせる一因になっています。

福島での経験を振り返る中で、「地方だからこそ得られる学びや発見があり、それが人生に新しい視点を与えてくれる」と倉本さんは感じたと言います。この経験を通じて、仕事を超えた意義を見出し、自分の価値観や視野が大きく広がったと実感しているそうです。 「『地方と関わってみたい』『新しいことに挑戦したい』と考えている人々には、ぜひ福島での活動がどれほど深く心に響き、豊かな価値を持つものになるかを知ってほしい」と倉本さんは力強く語ります。自身が感じた「福島の魅力」や「人々の温かさ」、そして「自己成長につながる機会」を、より多くの人に体験してもらいたいという思いが伝わってきました。 倉本さんの物語を通じて、皆さんもぜひ、福島県での副業をきっかけに、また行きたくなる場所や会いたい人を見つけてみてください。